大会長挨拶
吃音・流暢性障害学会の設立から10年の月日が流れようとしています。この度、2023年の第11回大会は、10月21日(土)・22日(日)に茨城県つくば市にある「つくばカピオ」で行うことに決定いたしました。
最後に対面で開催されたのは、北里大学で行われた第7回大会で、それ以降の第8〜10回大会はコロナ禍のオンラインで開催されました。そろそろ対面で行いたい、という声も聴こえつつ、昨今、経験している様々な利便性、遠方の方や子育て中のみなさんが気軽に参加できる環境を整えたいと願い、ハイブリッドで行うことにいたしました。
大会のテーマは「吃音研究の進化と未来創生」です。このテーマには、これまでに蓄積され、醸成した吃音研究が、多くの若い世代に受け継がれていく舞台をたくさん用意したいという願いが込められています。
また、本学会は当初から、臨床家や研究者だけでなく、吃音のある当事者のみなさんとも一緒に歩みを進めてきました。この最大の魅力を活かした大会になるように、多彩なプログラムを展開したいと計画しています。
基調講演には、West Virginia University 名誉教授のKenneth O. St. Louis氏をお招きします。St. Louis先生といえば、1990年代から早口言語症の研究を牽引し、2011年にLCDモデルという診断基準を完成させ、様々な研究者の主張をとりまとめた方として著名です。他方、St. Louis先生は、POSHA-S (The Public Opinion Survey of Human Attributes-Stuttering:一般の人が吃音をどう捉えているかを把握するための調査) の質問紙を開発されたことでも知られています。世界中の研究者と協働し、吃音だけでなく早口言語症についても、一般の人にどのように知られているのか、ということを数多く報告されています。今回の講演では、この国際的に展開された「態度の研究」について幅広いお話を伺いたいと考えています。
大会で取り組みたいことがもう一つあります。最近では「注文に時間のかかるカフェ」をはじめとし、若い方々が吃音の啓発に勤しまれている姿がメディアを通じて報道されています。会場には「注カフェ」をお呼びし、地域のみなさんにも体験していただきたいと考えています。さらに、小学校での啓発活動や理解教育に関わるシンポジウムなども含めてプログラムの構成を検討しています。筑波大学の若手研究者による発達性ディスレクシアに関する講演も楽しみにしていてください。
さあ。みなさん、どうぞ、10月には「つくばカピオ」に集まって、大会を楽しみましょう。大会に飽きたら、つくばの森や公園、筑波山麓に出かけてリフレッシュしてください!
日本吃音・流暢性障害学会 第11回大会
大会長 宮本 昌子(みやもと しょうこ)
筑波大学人間系教授